将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【角換わり】△3三金型

角換わりの序盤に異を唱えた新構想。


初手からの指し手
▲7六歩 △3二金 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △7二銀
▲7八金 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △3三角(図)
▲同角成 △同 金 ▲7七銀 △7四歩 ▲4八銀 △7三銀
▲4六歩 △6四銀 ▲4七銀 △4二玉 ▲5六銀

角換わりの出だしから後手が定跡の△7七角成の代わりに図のように△3三角と相手から角交換させるのが星野流。
この手には、▲3三角成と交換する例が多い。
▲7七角と上がってから角交換するのは手損だが、△3三同金が悪形なので後手はどこかで△3二金の一手が必要となるはずというのが先手の目論見。
しかし△3三金型のまま早繰り銀から速攻されると、意外に形の悪さを咎めるのが難しい。
アマ棋界で後手番必勝戦法と流行し、プロでは羽生九段まで参戦した。
2013年に加古川青流戦で千田翔太四段(当時)が増田康宏三段(当時)相手に初めて試み、相早繰り銀となった。
2018年千葉幸生七段vs阿部健治郎七段(棋聖戦)では腰掛け銀相手に△4二玉型から先攻。
王手飛車の筋を避けるため△4二玉か△9四歩が必要だが、金井六段vs西尾七段で出現した居玉から継ぎ歩に向かい飛車で対抗する構想が優秀なため、最近は△9四歩型が多い。



私が初めてこの作戦を見たのが永瀬vs山崎(B級1組順位戦)。
山崎八段のA級昇級に繋がった大きな勝負だった。
力戦型を好む山崎八段らしい新構想と思っていたが、その少し前に星野四段が髙野五段相手に指していた。
なお、フラッドゲートで前例があり、こういったAI発祥の新手について最近では違和感も薄れ、有力な作戦との認識からアマプロ問わず取り入れられている。
永瀬vs山崎のように△5四角が打てれば成功だ。
2021年度になって佐藤天彦九段も採用。
対する先手の中村太地七段は、対千葉(王位戦)で経験済。
当然対策は用意していることだろう。
早めに▲5六銀と上がって△5四角の筋を警戒。
注目は▲1六歩の一手で、通常は▲6六歩として圧迫を図りたいところ。
わざわざ端に一手かけたのには、ある狙いがあっ五た。
下図の△7五同銀には常用の手筋がある。

私の好みは△9四歩のところで△4二玉だが、後手の居玉は飛車の転換を含みにしている。
継ぎ歩の手筋▲2四歩△同歩▲2五歩に△7六歩▲8八銀と押さえた。
ここで△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛と浮き飛車に構え、次に△3五歩と横利きを通せば良型になるが△8六同飛の瞬間に▲8五歩や▲7四角があって危険。そこで△5二金と備えた。
以下▲2四歩△2二歩と凹まされたが、3三金型なので効果が薄い。
ここで▲1七桂の活用ができるのが先の▲1六歩の利点。
図で△9四歩と▲1六歩の交換が入っているのが先手にとってプラスに働いた。
遡って△9四歩か△4二玉のどちらかを省いて一手早く仕掛けた方が良かったか。


実戦は、▲1七桂に△7三角としたが、△3五角とこちらに打って▲2五桂△2四金▲5八金に△2三金と収めておくのも有力だった。


69手目▲7九飛に△同飛成でなく△8六桂という手があった。


81手目▲5六角~▲6六歩で龍切りを強要され切れ筋に陥った。


136手目△6七とで△4七金は、▲5三馬△3八金▲5二竜△4二飛に▲4四桂が好手で、△同金▲4二馬で詰む。

終盤、後手玉は見た目より耐性がある。
図から△7三歩▲8五竜と進行したが、逸機。
△6七成桂があった。
切れ模様だが、先手の意表をつく効果がある。
あきらめたらそこで試合終了だ。
 











△3三金型腰掛け銀

最近では、竜王戦第二局で採用するなど、広瀬九段が試みているが、結果は思わしくない。
▲4五桂が金アタリになるのが後手にとって厳しい。