将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【相掛かり】「△7四歩取らせ戦法」

後手の有力な作戦

佐々木大地vs伊藤匠(王位戦)

藤井聡太七冠と同世代の伊藤匠六段が、竜王戦挑戦を決めた。
やっと背中に手が届いた思いだろう。

この二人は、小学生名人戦で、ともに頂点を掴みそこなった過去を持つ。


ここで紹介するのは、2022年2月対局の佐々木大地対伊藤匠(王位戦)。

佐々木大地六段(当時)は、藤井聡太七冠相手に棋聖・王位のダブル挑戦した若手有望株。

タイトル獲得はならなかったが、棋聖戦第2局・王位戦第4局と先手相掛かりで勝ち星を挙げるなど相掛かりのスペシャリストとして知られている。

著書もある。

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玉形は▲6八玉対△4二玉となり、先手は▲7六歩と良さを求める。

仮に△7六飛とこの歩を取られたとしても6八玉型なので響きが薄い。

後手は、△8六歩▲同歩△同飛とこの歩を狙うが、▲3六歩に△7六飛とすぐ取るのは、▲8二歩△8六飛▲8一歩成△同飛▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛△8六歩▲8五歩となって先手良し。

そこで△7四歩として、▲8二歩に△7三桂の余地を作る。

これには▲2四歩△同歩▲同飛と先手が横歩取りを狙うが、後手は取らせて手得を主張する。

この時に4二玉型が戦場から遠いのが利点。

▲7四飛と歩を取れば、手損ながら一歩得&後手からの横歩取りも防いで一般的に先手成功と思われていた。

しかし、後手の伊藤匠四段(当時)は対策を用意していた。

△7三銀▲7五飛に、まず△2四歩と▲2五飛を防いだ。

これに▲2五歩としても△6四銀▲4五飛△2三金で効果が薄い。

そこで▲3五歩だが、これに対しても△6四銀▲4五飛△2三金と力強い。

△2四歩~△2三金として△3四歩を狙うのが伊藤匠四段(当時)の作戦だった。

先手は、▲2三歩△3三角と敵玉のそばに大きな利かしを入れた後、▲7七金と歩を守り、△7三桂に▲9六歩△9四歩(図)と進行した。

放置すれば△9五歩からの端攻めが予想されるが、現時点の後手陣のバランスが悪い。

図から▲7八金の塚田流屈伸戦法で角交換を挑むのが機敏な好手だった。
△7六銀を誘い、▲7四歩と進撃する狙い。

そこで先に△8四飛と桂頭を守ったが、▲5一角など角打ちの隙がある。

▲3三角成△同桂▲8八銀△7六銀と進行。

そこで佐々木六段(当時)は、▲5一角は△5五角や6四角と受けられて、次に△2五桂があって先手が忙しいと判断した。

▲6六歩は苦心の一手だったが、後手の猛攻に遭う。


やはり▲5一角が有力だった。

  1. △5五角には▲4二角成△同玉▲7五金。
  2. △6四角には▲7四歩△同飛▲6二角成に△2五桂と△8六歩と有力な手段が二つある。△2五桂は、▲6三馬△8四飛▲7四歩△3七桂成▲同桂△4六角▲4七金△5五角は先手陣も気持ち悪いものの▲4六桂と急所の金を攻められるのが痛い。△8六歩は、▲6三馬△8四飛▲8六歩△5五角▲5六歩に△6二歩という小洒落た一手があって、難解だが、先手悪くない。

図は、前図から▲6六歩に△7七歩▲同桂△8五桂▲同桂△同銀と進行した局面。

先手陣は、△7六桂と△3六桂の二つのキズが残っている。

玉に近い△7六桂を守って▲7七歩だが、△3六桂にどうするか?

実戦は、▲1八飛△4八桂成▲同飛としたが、△3六歩が厳しかった。

正解は、▲3八飛△4八桂成▲同金だったか?


図の△3三歩が、相手の心を折る、見るからに良い手。

▲4七香△3六桂▲3七馬と抵抗するが、△4六銀とかさにかかって攻められる。

これに▲同香△同金に▲2八銀(下図)の犠打と、師匠譲りの二枚腰を見せる。

この意表の受けに伊藤が誤った。

△同桂成▲4六馬△3八成桂とすれば何でもなかったが、△2九竜とひるんだため▲4六馬△4八桂成▲同角△4九竜▲5九金と粘られた。

佐々木大地六段(当時)は、乏しい手駒をやり繰りして攻めたてる。

馬と成香を作って飛車を追い、図の銀取りに伊藤匠四段(当時)が、どう対処するか?

実戦は、△6六銀と逃げたが、そこで▲2二歩成△同銀▲3二桂成と勝負されると危なかった。

図では、△7一飛という「次の一手」があった。

狙われた飛車を馬のラインから外しながら▲7五馬には成香を取ることができる。

ここで▲2二歩成としたが、証文の出し遅れ。

▲7六歩から入玉を目指せば大変な将棋だった。


完成度は高くないが、若手らしい力の入った攻防だった。

先頭を行く藤井聡太に、今後、この二人がどこまで迫ることができるか?



藤井聡太対中村太地(B級一組順位戦)

後手の中村太地七段が強敵相手に用意した作戦が、「△7四歩取らせ」。

歩損の代償に、右銀を6四まで進出させる。

▲3五歩の突き捨ては、△4四角のラインを防いだ意味だが、これで歩の損得はなくなった。

後手の戦略としては3五の位を生かして厚みで戦うか、手得を生かして右銀で攻勢を取るかの二択だが、右銀で攻めるにしても△5二玉~△7五歩と棒銀で攻めるか、実戦のように△5五銀~△6四飛と攻めるか悩ましい。

図の△5五銀は、6六の歩狙い以外に、△2四歩や△4四銀から厚みを築く狙いもある良い感じの手。

後手番としては、まずまずの分かれ。

△7四歩取らせは、有力な作戦と感じた。


図からの指し手
▲5八金 △2四歩 ▲4六歩 △6四飛 ▲3七桂 △6六銀
▲同 銀 △同 飛 ▲6七金右 △6四飛 ▲5五銀 △7四飛
▲4五桂 △1五角 ▲2九飛 △3六歩 ▲4九銀 △8六歩
▲同 歩 △8八歩 ▲同 金 △3七歩成 ▲6四歩 △4七と
▲2六歩 △6五桂 ▲7七桂 △5七と ▲同 金 △同桂成
▲同 玉 △7六飛 ▲6八桂 △7五飛 ▲6六銀 △7三飛
▲1六歩 △6四歩 ▲7四歩 △8三飛 ▲1五歩 △4四歩
▲3九飛 △3七歩 ▲同 飛 △3六歩 ▲同 飛 △3五歩
▲同 飛 △3四歩 ▲同 飛 △4三銀 ▲3九飛 △4五歩
▲8五桂 △6五歩 ▲同 銀 △4六歩 ▲7三歩成 △3八歩
▲8三と △3九歩成 ▲7二と △5五金 ▲4八銀 △4七歩成
▲同 銀 △4五桂 ▲6七玉 △6六飛 ▲7八玉 △6五飛
▲6二飛 △3三玉 ▲6五飛成 △同 金 ▲3六飛 △2三玉
▲4四歩 △6七銀 ▲8七玉 △3四銀 ▲4一角 △3一銀
▲3四飛 △同 玉 ▲5二角成 △4四玉 ▲3四金 △5五玉
▲4四角
まで127手で先手の勝ち


右銀を捌いて後手成功のようだが、▲5五銀~▲4五桂と先手陣が厚くなった。
このあたりの藤井聡太の優れた感覚は学びたい。



飛車先保留の△7四歩取らせ

将棋センターでYちゃん(将棋少年)が棋譜並べを誘ってくる。
棋譜並べは、私が棋譜を見ながら急所の局面で子供たち相手に次の一手を出すやり方。
藤井聡太棋聖の四段当時の棋譜を並べてみると、かなり棋風が変わったと感じる。
今は昔と比べてかなり指し手が慎重になった。
おそらく様々な敗戦を糧として現在の棋風を得たのだろう。
四段当時の、まだ攻めっ気が強かった頃の対深浦康市(叡王戦)の棋譜を並べてみる。
若さを感じるが、むしろこういう将棋の方がアマチュアの参考になる。


藤井四段の▲2六歩に深浦九段は、角道も開けず、飛車先も突かずに△3二金。
英春流のような出だしだ。
鈴木英春さんの優れた序盤感覚に、AIの発達によって、やっと時代が追い付いてきた。

なお、英春流カメレオン戦法は、先手番で△1四歩が入っている形。
△7四歩取りを嫌った指し方だ。
他に、△6二銀の代わりに△7二飛とする羽生式袖飛車という戦法もあり、当ブログの「【minor戦法】袖飛車アラカルト」で触れている。
ここでは敢えて△7四歩を取らせる指し方を考察する。


深浦九段の△7四歩取らせに、藤井四段は▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲7四飛と真っ向勝負。
▲7四飛に対してYちゃんが△7二飛ぶっつけを示したので「△7四歩取らせ戦法は、歩損の代償に手得する作戦だからそんな手はないよ」と窘める。
そこへミライ君が「△2三歩では△1四歩が有力みたいですよ。」とスマホを示す。
「△1四歩は▲7四飛△7三銀に▲2四飛と飛車が安定するから損じゃない?」と言うと、スマホによれば△1四歩▲7四飛に△7二飛が有力らしい。
恐れ入りました。

図の局面から後手の狙いは角交換して△1四角。
△4七角成を受けて▲4五飛には△3三桂▲4六飛△5五銀で後手成功。
そこで図から▲6六歩と受けたが、△7二飛と今度は7六の歩に狙いをつける。
受けが難しいようだが▲8五飛が裏をつく手。
飛車成りを防いで△8二飛と戻り、▲2五飛△7二飛▲8五飛と繰り返すと千日手で先手失敗。
そこで先手は▲7八金とし、後手は▲2五飛を拒否して△2四歩。


ここまでは前例があり、先手を持っていた佐藤天彦名人(当時)は▲4五飛と飛車を活用しようとしたが、後手の糸谷八段は△2四歩を生かして銀冠を構築。
難しい将棋だったが先手が敗れた。


藤井四段は▲6五歩とした。
次に▲8六飛▲7五歩となると飛車が安定し、7筋逆襲も望める。
この構想が△2四歩に対する決定打で、このような「△7四歩取らせ戦法」はプロの将棋で見ることがなくなった。
▲8六飛にYちゃんが△9五角を打ちたがる。
これまでは、この準王手飛車が気になって、先手はこの変化を避けていた。
いざ指されてみると、先手陣は飛車打ちに強く、後手の飛車だけが自陣に取り残されてしまう展開は後手にとって厳しい。

王手飛車はそれほど怖くなく、むしろこれは後手に対策がないと選びにくいかもしれません。

 「将世2018.9号」佐藤天彦名人(当時)『果てしない攻防の末に』

同じ△7四歩取らせに遭遇した佐藤天彦名人(当時)の証言から、藤井聡太の序盤感覚が優れていることが分かる。
下図が、名人戦で戦われた△7四歩取らせ。
後手の羽生竜王(当時)は、△2四歩と▲2五飛を拒否する定跡を外して△5四歩と穏やかな駒組み。 
しかし、▲2五飛と戻ることができたのは、先手としては満足。
後手は手得を生かして銀冠の堅陣に組む。

図の局面での評価値は、▲4五歩や▲3五歩と仕掛けても、▲6八角と受けても+200ほど先手が良い。
ただし、実戦は▲4五歩△同歩に▲3五歩でなく▲8八角と角のラインを変えて攻めようとしたため、ほぼ互角の形勢となった。

図の局面で△1七歩なら後手が良かった。
以下▲7八銀に△5六歩▲4四角△5七歩成▲同金△同桂成▲同玉△4四金となって、次の△5六歩が厳しい。
実戦は△7七とだったので「光明が射した感じがしました(佐藤天彦名人)」。


藤井vs深浦は下図のように進展した。

図の局面となって後手の「△7四歩取らせ戦法」は完全に失敗している。
先手の7筋逆襲が成功し、後手が対応を迫られている。
そんな局面で力を発揮するのがトップ棋士。
△5四歩が深浦九段の実力を示した手、▲8五歩に△4五歩▲2四角と角を追い、△5五歩と今度は飛車を攻める。
▲5五同飛は△6六角があるので▲6六飛としたが、Yちゃんも見つけた△8六角が巧手で銀が生還した。
▲6八金と王手を受け、△7五銀▲同銀△同角▲7六飛△5三角に▲4八金がAIも最善手と認めた一手で、「この手が指せる感覚を身に着けたい」と嘆息。
△5六歩から後手も抵抗するが、手厚く指されて差が開くばかり。
評価値にしてプラス1000点超えの局面で、先手の選択は▲3五歩(図)。


先手の不安材料は2四の角だけ。
▲3五歩と角に活を入れ、△2三銀に▲3三角成△同桂▲4五桂△4二銀▲2四歩△同銀▲3四歩と好調。
△8八角に▲2五歩△同銀▲3三歩成△同銀▲同桂成△同金▲4五桂△3四金▲5四銀となって、後手玉は裸の王様、終局近しを思わせる。


どうしてこの将棋が逆転したのか?

信じられないのは、図で▲6二銀の決め手を逸した事。
▲5六飛△7三桂▲5五飛は藤井聡太らしくない手順だ。

図から▲4三桂△同歩▲同銀成で勝勢。
しかし、△5一玉に▲6六角が疑問手だった。
ここでは▲4二角△6一玉▲4四成銀△同金▲5三桂不成(銀取り)で決まっていた。
△5三同歩は▲同飛成だし、玉を逃げる手には▲2五飛で紛れがない。


△5五角▲同角△8一桂と受けて一気に形勢が五分になった。
しかしそこで放った▲5六角が攻防の名角でまだ勝負はわからない。


追記:その後、Yちゃんは、小学生名人戦で入賞。
努力が実ったね。おめでとう!


相掛かりに生きている△7四歩取らせ

▲6八玉型に対する△7四歩早突き

6八玉型に対しては7・8筋を戦場にしたいので、敢えて歩損を甘受して早繰り銀を目指す手法がある。
前記の順に比べて先手の飛車は楽だが、プロの実戦例では後手も健闘している。
特に山崎八段が得意とする指し方だ。
B級一組順位戦で全勝の山崎隆之八段に対して近藤誠也七段はあえて相手の得意とする△7四歩取らせをぶつけて土をつけた。


初手からの指し手
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀 
▲6八玉 △7四歩 

早いタイミングの△7四歩。
1筋の突き合いがあれば、仁和寺で行われた羽生vs豊島(竜王戦第3局)と同じ。
このタイミングだと、ほぼ7四の歩は取らせて戦う心づもり。


図から▲2四歩△同歩▲同飛に△2三歩は▲7四飛だし、△2八歩を狙って△1四歩と受けても、構わず▲7四飛。
△2八歩は▲2四飛△2九歩成▲同飛で桂損してもおつりがくる展開。
△1四歩が成立するのは、先手で△1三角が利く場合だ。


1筋の突き合いがあっても7四の歩は守り難い。
▲2四歩△同歩▲同飛に△7三銀と受けるのは、▲2三歩△1三角▲2八飛として後手の角が危険だ。


△8六歩▲同歩△同飛と狙われている8五の歩を交換すると、2歩手持ちになったので、▲1五歩△同歩▲1四歩の端攻めが生じる。


実戦に戻る。
後手は、歩損の代償に銀を6四まで進出したが、歩切れ。

先手は、後手に飛車先交換されると歩を持たせるので、▲7七金と防いだが、△7三桂と狙われた。
普通は▲6六歩と桂跳ねを防ぐところだが、そうなると角の活用が難しくなる。
山崎八段は、▲3六飛と縦歩取り。
歩を取ることに成功したが、手損を重ねることになった。


独特な感覚を必要とする戦法だが、『極限早繰り銀』と同様、自分のペースで序盤を進めることができるのが利点だ。





現在流行の△7四歩取らせ

タイトル戦などで頻出しているのが下図の△7四歩。
これには▲2四歩△同歩▲同飛だ。
後手は△2三歩とこの歩を取らせて手得で戦う心づもり。
もちろん△7三銀と取らせないのも一局の将棋で、『【相掛かり】▲3七銀(早繰り銀)』で解説済みだ。




飛車先を受けない▲7六歩

△8二飛と引いた手に、藤井王位は8筋を放置して▲7六歩。
△6四銀▲2五飛△8六歩には▲8五歩でなく▲8四歩が良い。
難解な戦いだが、最近は紛れをなくして△8二飛のところ△6四銀が多い。
J棋士18号も被害に遭っている。
豊島竜王の大悪手△7五銀には唖然とした。




叡王戦最終局、豊島の作戦は藤井の研究範囲だった

後手の豊島の積極的な作戦に驚いた叡王戦第五局だが、図の局面までフラッドゲートで前例があった。
前例は▲5八玉だが、藤井二冠は▲2九飛、これが改良手。
▲5八玉だと△6五銀▲7七金に△4五歩▲同歩△7七角成が成立。
▲7七同角に△3三桂が飛車取りになる。
藤井の▲2九飛は予め飛車取りを避けた手で、研究の跡が窺われた。
しかし、2五の飛がいなくなったので△6五銀▲7七金に△7五歩▲同歩△同銀が成立。
これに▲9七角と巧みに受け、△6四銀▲6六歩△7四銀▲7八銀と収まった。
後手の方針が難しい。
豊島は、▲2四歩△同歩▲2五歩の継ぎ歩が気になって△3三角だが、厳しさを欠いた。
△5二金と5筋を補強し、次に△4五歩▲同歩△7五銀直と棒銀の活用が急務。
▲6五歩の銀取りには強く△7六歩▲6七金△9九角成で後手が指せる。
△5二金では、いきなり△4五歩も有力に見える。


本譜は二枚銀が泣いた。
終盤、ソウタの▲9七桂が話題になった。
▲5五角が並みの手だが△6四歩と飛車の横利きを通される。
▲9七桂は、次に8五の銀を取った手がほぼ詰めろだが、瞬間△5六歩▲同銀△8七歩成▲同銀△7六銀という返し技がある。


豊島竜王が見送ったので事なきを得たが、やってみる価値はあっただろう。
精査すると▲5五角が最善で△6四歩に▲5四金で先手良し。
しかし▲9七桂も悪い手ではなく、△5六歩に▲4六歩と受ければ先手が残していた。


終盤は難度の高い手が多く、逃したのは仕方ない。
後手としては、中盤、▲9七角に△6四銀としたが、△7四銀として▲7六歩△6四銀と先手に7筋に歩を使わせる展開の方がよかった気がする。


ご承知の通り、藤井聡太はこの将棋に勝って三冠王。
この勢いで全冠制覇してほしい。