将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【△4二・5二玉型横歩取り】後手飛車先不換型

飛車先交換のメリット・デメリット

従来の横歩取り定跡では先手の飛車先交換に対し、後手も負けずに飛車先交換するのが常だった。
後手が歩得するのに自分が一歩もないのでは損だから、当然の姿勢と思われた。
ところが、横歩取りの定跡が進み、先手の青野流の攻めが脅威になったため、飛車先交換を他の手に変えた方がいいのでは?というアイディアが出てきた。
そこで飛車先交換した横歩△4二玉型と別に研究してみる。
同じ思想なので、△5二玉型も含めて研究する。
最近では、タイトル戦にも出現し、内容的には健闘している。



△4二玉型

後手が飛車先交換をせず、△4二玉として横歩を取らす新しいタイプの横歩取らせ。
将棋倶楽部24のJ棋士18号が得意としていた戦法だ。
実はずっと昔、明治生まれの棋士、小堀清一九段が試みていたのだが、これが令和のA級順位戦で現れた。


先手:三浦 弘行 九段
後手:稲葉 陽 八段
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △4二玉
▲3四飛 △3三角 ▲3六飛 △2二銀 ▲2六飛 △7二銀
▲5八玉 △7四歩 ▲3八銀 △7三桂 ▲1六歩 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛


△8六歩を保留しているため、好タイミングで交換して逆に横歩を取ることができる。
先手は警戒して▲3六飛と引いたが、これが後手の狙い。
青野流を阻止できた。



結局△5二玉と△4二玉の違いはあるものの良く見る形に収束。
こうなると▲3四桂のキズがあるだけ△5二玉型の方が良いかも。
稲葉八段の狙いはどこに?

△6五桂跳ねは桂を渡して危険なので、△6五歩。
次に△7五歩▲同歩△2四角や△2七歩を狙っている。
△2七歩は▲同飛なら△8八角成▲同銀△6六歩が厳しく、放置すれば角交換から△2八角がある。
実戦は▲1七桂△7五歩▲同歩△5四飛▲4八金に狙いの△6六歩。
これに対する三浦九段の応接が凄かった。
▲同角△同角▲同飛とわざと△4四角の両取りにかかり、▲7六飛△9九角成▲7七桂。
これが味の良い手順で香得ながら後手が苦しい。



△5二玉型

先述のように△4二玉型は、左の金銀との連結は良いものの、争点から近いなどの弱点があった。
では△5二玉型はどうだろう?
それがタイトル戦の大舞台で現れた。
指したのは、佐々木大地七段。

取り方が悩ましい。
▲同金だと後手の飛車先交換を阻止できるが、▲同桂と桂の活用を図るのも魅力的だ。
後手から△2七角の狙いがあって、▲同金と取ると隙が多く、△2七角▲2四歩△3六角成▲2三歩成△2七馬と攻め合いになった時に先手が悪い。
したがって▲同桂が正解。