将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【角換わり】△3三金型

藤井fan

升田賞獲得

第49回升田賞(2022年)に千田翔太プロの「△3三金型早繰り銀」が受賞となった。
角換わりの序盤に異を唱えた新構想で、千葉七段による解説書もある。

サザンハヤクリ△3三金型早繰り銀 (マイナビ将棋BOOKS)
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早繰り銀

石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」の戦い(2024/04/20)

藤井叡王が通常の角換わりを拒否

叡王戦第二局で藤井叡王の指し手に驚いた。
得意の角換わりを避けたのだ。
それだけ挑戦者の伊藤匠七段の研究を恐れたのだろうか?
そもそも角換わりの先手番と後手番両方持つのは無理があった。
今までどちらを持っても勝ってきたのが凄かったのだ。


初手からの指し手
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7六歩 △3二金
▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △3三角 ▲同角成 △同 金
▲7七銀 △6二銀 ▲7八金 △7四歩 ▲4六歩 △7三銀
▲3八銀 △6四銀

藤井叡王が△3三金型を指すのは初めて。
ここで先手は▲3六歩~▲3七桂を急ぎたいところだが、じっと▲1六歩。
△4二玉にさらに▲1五歩と端に二手かけた。
恐ろしい落ち着きぶりだ。


図からの指し手
▲1六歩 △4二玉 ▲1五歩 △3二玉 ▲3六歩 △7五歩 
▲同 歩 △同 銀 ▲3七桂 △8六歩 ▲同 歩 △同 銀 
▲同 銀 △同 飛 ▲8七歩 △4六飛

図からの指し手
▲8三角 △7二歩 ▲7七桂 △8六歩 ▲5五銀 


図から▲8三角と打った。
一見すると▲5五角がありそうだが、△6四角▲4六角△同角の局面は、後手陣が締まっていて飛車の使い道がない。
8二の地点は角がcareしているし、▲8六飛の両取りには△9五角がある。


▲8三角に△7二歩と歩を使ったのが意外。
固いが7筋に歩が使えなくなった。
△5一金が予想された手で▲7二角成には△7六飛がある。
△5二金として▲6一角成に△4二金右と固める順も魅力的だし、△6二金も普通の手だ。

※局後の感想※

☖5一金は☗5六角成☖同飛☗同歩☖7三桂が並べられた。そこで先手の指し手が難しいようで、伊藤は☗6六銀を絞り出すも、☖8八歩☗7七桂☖7六歩は先手がおかしいようだ。藤井が☖7三桂に☗7一飛を指摘。以下☖4二銀で互角になるとされた。

図からの指し手
△3六飛 ▲4七角成 △3五飛 ▲4六銀 △7五飛 ▲7六歩 
△同 飛 ▲4五桂 △6四角 ▲3三桂成 △同 桂 ▲3七銀上 
△4五銀 ▲6六金 △4六銀 ▲同 銀 △3五桂 ▲3六馬 
△6六飛 ▲同 歩 △8七歩成 ▲2四歩 △同 歩 ▲8七金 
△4五銀 ▲同 銀 △同 桂 ▲同 馬 △2八角成 ▲4四歩 
△4七飛 ▲4三歩成 △同 玉 ▲4四銀 △5二玉 ▲3四馬 
△5一玉 ▲3五馬 △6七銀 ▲4三桂 △6二玉 ▲5三銀不成 
△7三玉 ▲8四銀 △同 玉 ▲8五飛
まで87手で先手の勝ち


7筋に歩が利かないので先手は▲7七桂と活用する。△8六歩が期待の一手だが、▲5五銀が素朴な一手で、△4九飛成▲同銀△8七歩成▲同金△7三角といった強襲は無理筋と判断し、△3六飛と逃げたが、▲4七角成と馬を引き付けると負けにくい形だ。
△3五飛に▲4五歩と閉じ込めるのは、今度こそ△7三角がある。
▲4六銀△7五飛と逃がしても、7筋に歩が利かないので怖くない。


神奈川県元湯陣屋の戦い(2024/9/4)

以前は居玉のまま△9四歩と王手飛車の筋を防ぐのが定跡だった。

囲うと3三金との相性が悪いとの考えからか、居玉で飛車の転回を含みにしていた。

前記の対伊藤匠戦では△5二金を保留して△3二玉とした。場合によっては金を右に使おうとする考えだが、藤井王座は図から△5二金。

以下▲6六歩△6七銀△7六歩▲同銀右△5五銀が定型文だが、右辺が薄くなるのが気がかりだ。

なお、図から△7五歩▲同歩△同銀は▲2四歩からの継ぎ歩攻めがある。

3三金型なので銀型よりも厳しくないが、現在は後手が避ける傾向にある。

▲7二歩から先手が歩損ながら馬を作った。

ここまでは永瀬九段の想定だったようだ。

また、千葉本でも解説されている。


後手の持ち角とどちらが働くかの勝負だが、図の△7四歩が渋い一手。

桂馬の活用と銀ぶっつけをねらっている。

それに対応して▲3七桂△4四歩▲4六馬と、3筋の歩交換を見せて△7三角を打たせた。


△7三桂も考えられるが、これには▲6五歩△7五歩▲6四歩△7六歩▲同銀△6六角▲7七銀△3九角成▲7四歩が想定され、銀の取り合いは先手陣が薄まるので後手十分に見えるが、しっかり調べてみると難しいようだ。

▲7四歩以下△2八馬▲7三歩成△8一飛▲6三歩成△4三金上▲5二との進行は後手自信ない。

それで藤井聡太は△7三角を選択したのだ。

歩得を生かした端攻めが飛んできた。取れば△9五香だ。

異様な後手陣だが金銀三枚が連結して堅い。

対して端に手がついた先手陣は7五歩の圧力もあって脆い。

先手は▲5五歩から馬に活力を入れたい。

図のように継ぎ歩が実現して3三金型攻略は目前だ。


図から▲2四歩は自然な手だが、▲6五歩△4二角を先に利かしてから▲2四歩△2二歩▲2六香としておくべきだった。

後にこの角が働いて△3九金や△1九角成という手が生じるのだ。


△7六桂に▲9八玉だが、▲7八玉だと△5六歩▲2五桂△2四金▲1三桂成に△3九金(図)という妙手がある。

▲2八香で▲2六香なら良かったかと感想戦で調べたところ、△6八金▲8九玉△1九角成があると藤井聡太が指摘。

先述のように早い段階で▲6五歩と角を追っておくべきだった。



升田賞を受賞するまで

初手からの指し手
▲7六歩 △3二金 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △7二銀
▲7八金 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △3三角(図)
▲同角成 △同 金 ▲7七銀 △7四歩 ▲4八銀 △7三銀
▲4六歩 △6四銀 ▲4七銀 △4二玉 ▲5六銀
<img src="http://sfenreader.appspot.com/sfen?sfen=ln1gk1snl%2F1rs3g2%2Fp1ppppbpp%2F6p2%2F1p5P1%2F2P6%2FPPBPPPP1P%2F2GS3R1%2FLN2KGSNL%20b%20-%201">
角換わりの出だしから後手が定跡の△7七角成の代わりに図のように△3三角と相手から角交換させる手が流行している。
この手には、▲3三角成と交換する例が多い。
▲7七角と上がってから角交換するのは手損だが、△3三同金が悪形なので後手はどこかで△3二金の一手が必要となるはずというのが先手の目論見。
しかし△3三金型のまま早繰り銀から速攻されると、意外に形の悪さを咎めるのが難しい。
アマ棋界で後手番必勝戦法と流行し、プロでは羽生九段まで参戦した。
2013年に加古川青流戦で千田翔太四段(当時)が増田康宏三段(当時)相手に初めて試み、相早繰り銀となった。
2018年千葉幸生七段vs阿部健治郎七段(棋聖戦)では腰掛け銀相手に△4二玉型から先攻。
王手飛車の筋を避けるため△4二玉か△9四歩が必要だが、金井六段vs西尾七段で出現した居玉から継ぎ歩に向かい飛車で対抗する構想が優秀なため、最近は△9四歩型が多い。


私が初めてこの作戦を見たのが永瀬vs山崎(B級1組順位戦)。
山崎八段のA級昇級に繋がった大きな勝負だった。
力戦型を好む山崎八段らしい新構想と思っていたが、その少し前に星野四段が髙野五段相手に指していた。
なお、フラッドゲートで前例があり、こういったAI発祥の新手について最近では違和感も薄れ、有力な作戦との認識からアマプロ問わず取り入れられている。
永瀬vs山崎のように△5四角が打てれば成功だ。
2021年度になって佐藤天彦九段も採用。
対する先手の中村太地七段は、対千葉(王位戦)で経験済。
当然対策は用意していることだろう。
早めに▲5六銀と上がって△5四角の筋を警戒。
注目は▲1六歩の一手で、通常は▲6六歩として圧迫を図りたいところ。
わざわざ端に一手かけたのには、ある狙いがあっ五た。
下図の△7五同銀には常用の手筋がある。
<img src="http://sfenreader.appspot.com/sfen?sfen=ln1g2snl%2F1r3k3%2F3pppgpp%2Fp5p2%2F1ps4P1%2F4SP2P%2FPPSPP1P2%2F2G4R1%2FLN2KG1NL%20b%20BPbp%201">
私の好みは△9四歩のところで△4二玉だが、後手の居玉は飛車の転換を含みにしている。
継ぎ歩の手筋▲2四歩△同歩▲2五歩に△7六歩▲8八銀と押さえた。
ここで△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛と浮き飛車に構え、次に△3五歩と横利きを通せば良型になるが△8六同飛の瞬間に▲8五歩や▲7四角があって危険。そこで△5二金と備えた。
以下▲2四歩△2二歩と凹まされたが、3三金型なので効果が薄い。
ここで▲1七桂の活用ができるのが先の▲1六歩の利点。
図で△9四歩と▲1六歩の交換が入っているのが先手にとってプラスに働いた。
遡って△9四歩か△4二玉のどちらかを省いて一手早く仕掛けた方が良かったか。


実戦は、▲1七桂に△7三角としたが、△3五角とこちらに打って▲2五桂△2四金▲5八金に△2三金と収めておくのも有力だった。


69手目▲7九飛に△同飛成でなく△8六桂という手があった。


81手目▲5六角~▲6六歩で龍切りを強要され切れ筋に陥った。


136手目△6七とで△4七金は、▲5三馬△3八金▲5二竜△4二飛に▲4四桂が好手で、△同金▲4二馬で詰む。

終盤、後手玉は見た目より耐性がある。
図から△7三歩▲8五竜と進行したが、逸機。
△6七成桂があった。
切れ模様だが、先手の意表をつく効果がある。
あきらめたらそこで試合終了だ。
 











腰掛け銀

最近では、竜王戦第二局で採用するなど、広瀬九段が試みているが、結果は思わしくない。
▲4五桂が金アタリになるのが後手にとって厳しい。






右玉

右玉は有力。

ただし2二の空間が弱点となるので左銀を活用しにくい。

図からの指し手

▲2二角      △1三桂      ▲4五歩      △同 歩      ▲2九飛      △5四角

▲1五歩      △2一飛      ▲3三角成    △同 銀      ▲1四歩      △1八歩

▲同 香      △4六歩      ▲同 銀      △3六角      ▲2八金      △4一飛

▲4三歩      △4四銀      ▲1三歩成    △4五歩      ▲同 桂      △同 銀

▲3七銀      △5五桂      ▲5九桂      △1三香      ▲同香成      △4六歩

▲4九香      △8六歩      ▲同 歩      △4三飛      ▲3六銀      △同 銀

▲3八金右    △4七銀打    ▲2二角      △4五飛      ▲4七桂      △同銀不成

▲8二銀      △3八銀成    ▲5五角成    △同 飛      ▲3八金      △3六角

▲5八銀      △4五桂      ▲4七歩      △8七歩      ▲6九桂      △3七金

▲2六飛      △4七歩成    ▲同 金      △同角成      ▲同 香      △4八金

▲7三銀不成  △同 玉      ▲8五桂      △7二玉      ▲2八飛      △3九角

▲4九歩      △4七金      ▲6七金      △2八角成    ▲4七銀      △8二銀

▲5六銀      △8八金

まで110手で後手の勝ち