将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【横歩取り】中座流復活への狼煙

AI評価値の低い横歩取らせ

天才藤井聡太に上村亘五段は横歩取らせて勝っており、『アエラ』に藤井聡太棋聖の強さの秘密について記事を載せている。

「上村五段が得意にしているのは『後手番の横歩取り』。後手が横歩を取ると将棋AIの評価はガクンと下がるため、この戦法を採用するプロ棋士は現在数名しかいません。しかし上村さんはこの戦法で、それまでプロ入りしてから先手番で無敗だった藤井さんに初めて土をつけたのです」

同じ記事に「将棋AIは序盤の指し手がまだ甘くて、序盤の評価値が良くても振り返ると実は不利だったというケースがよくあります。」とある。
「横歩取らせ」や「振り飛車」に対するAIの評価値が低いからといって悲観する必要はない。


24手目の敗着(豊島vs木村:王位戦第一局)

第60期王位戦第一局
は、懐かしい中座飛車。


△2五歩のタイミングが早いように感じるが、▲3七桂とされてから歩を打つと▲2九飛と好位置に逃げられるのを嫌った。


それでも▲3七桂~▲2九飛とした豊島三冠。


自然な佇まいの中に最近は、貫禄を備えてきた。

図の△2三銀が敗着かもしれない。
△2三銀のところ、杉本八段は1手の得を生かして後手が動くと予想。△8六歩、△7五歩、△3五歩など候補手が多いが、いずれにしても▲4八金が入る前に攻める発想だ。


図からの指し手
▲3三角成 △同 桂▲7七桂△5五飛▲6六角△5四飛▲2五桂△同 桂
▲同 飛△2二歩
▲4六桂△6四飛▲5五角△1四飛▲8五桂△6四歩▲7三桂成△同 銀
▲1六歩△3三桂▲2七飛△5二玉▲3五桂△2四飛▲2三桂成△同 歩
▲2五歩△4四飛▲同 角△同 歩▲7一飛△6二銀▲9一飛成△4五歩
▲2四歩△同 歩


△4五歩では、まだしも△4五桂だった。
というのも三手後に豊島三冠の決め手があったからだ。
豊島三冠は▲2四歩△同歩と突き捨てた。
次の一手は・・・
▲5四桂!
△同歩に▲2四飛と走る。
△2三歩と受けるのは歩切れになるので▲5四飛の王手が激痛。
△4二金▲2一飛成△8四角などが検討されたが、指し手はジリ貧の△4二桂。
受け師らしい粘りだが、これで後手の勝ち筋はなくなった。


図からの指し手
▲5四桂 △同 歩 ▲2四飛 △4六歩 ▲同 歩 △4二桂
▲2一飛成△3一歩 ▲4四銀 △6三玉 ▲3二龍 △同 歩
▲5三金 △同 銀 ▲ 同銀成 △同 玉 ▲5一龍 △5二桂 
▲6二銀 △4三玉 ▲4四香 △同 玉 ▲4二龍 △4三香 
▲5三銀不成 △3四玉 ▲3五金 △2三玉 ▲2四歩



この将棋の後、中座飛車は見ない。
一時期あれほど流行していたのに。
それどころか横歩取り(取らせ)の将棋も見ない。
私自身、後手番なら「横歩取り(取らせ)」より「一手損角換わり」の方が有力というのが現時点での見解だ。
需要の少ない戦型になったが、筆者なりの結論が出るまで研究したい。