将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

第73回全日本アマチュア将棋名人戦

夏草や兵どもが夢の跡


出場者の皆さん、大変お疲れ様でした。
現在の代表的なアマ強豪の名前が下に載っている。
元奨励会の名前も多い。
プロ試験受験を表明したアゲアゲさんの名前も目に入る。


写真のように中川慧梧さん(東京都)が、準決勝で小山怜央さん(神奈川県)を、決勝で元奨励会二段の髙橋英晃さん(静岡県)を破って初優勝。
中川さんには、「最強アマの即戦力戦法」という棋書があり、今度の優勝で書名通り最強アマであることを証明した。心よりお祝い申し上げます。
優勝できなかった実力者の皆さんには、捲土重来を期待します。
前名人の鈴木肇さんは髙橋さんに敗れベスト8。完敗だったとのこと。
髙橋さんと同じ静岡県代表の山岸亮平さんもベスト8と同県のレベルは高い。
さて、前々名人ながらアマ最強の一人と評価される横山大樹さん(北海道)は、予選3回戦で武田俊平さん(千葉県)と当たった。


武田さんは、相掛かりユーフォー銀戦法から左銀も前線に繰り出し、さらに上図から▲5八飛と相手玉に狙いをつけた。
横山さんの△8四銀は、飛車の横利きを通して棒銀に備えたものだが形が悪い。
前に指した△7五歩が指し過ぎで負担になっている。
ここまでは武田さんの研究通り。
次に▲4五銀があるので横山さんは、△4四歩と受けたが▲5四歩が強烈。
△同歩に▲5五歩※と継ぎ歩をした後、△同歩に▲7六歩(下図)と角の活用を図る。
これに対する横山さんの応接が素晴らしかった。


※継ぎ歩の替わりに▲7六歩△同歩▲7五歩△6四飛▲7九角とすれば、次の▲4六角が受け難く、先手が良かった。
▲5五歩の継ぎ歩は、反って後手の飛車を楽にした。


まず△4一玉と当たりを避け▲7五歩に△5四飛。
先手は、気持ちよく▲5五銀(下図)としたが・・・・



ここから△5五同飛▲同飛△4五歩が好手順で、先手のadvantageは消えた。
これに▲4五同飛が失着で、▲5四飛ならまだ難しかった。


図からの指し手
△5五同飛!! ▲同 飛 
△4五歩 ▲同 飛 
△9九角成 ▲7四歩
△4三香 ▲2五飛 
△8五桂 ▲4二角成 
△同 玉 (同 金) ▲8二飛 
△3三玉



後手玉が危険な形で、ここでは、先手が面白くなっている。
しかし、▲4一銀が時間に追われた失着。△3一金と逃げられて、反って寄せ難くなった。替えて▲2二歩△同玉▲2四歩△同歩▲2三歩か、▲2四歩△同歩▲同飛なら先手が良かった。
 △3一金以下▲5二銀不成としたが、まだしも▲2二歩だった。
 横山さんは、△4二銀と6一の金を犠牲に玉を固め、 武田さんも金を取らずに▲4三銀成としたが、形勢を損ねた。
普通に▲6一銀不成と金を取っておけば、△8九馬に▲7九金打と固める手段も残り先手が良かった。
このあたりは秒読みに入っており、善悪は問えない。
随所に横山さんの実戦的な指し手が見られ、参考になる将棋だった。