将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

ソウタの棋(その4)八冠制覇への道

祝!五冠王

ソウタおめでとう!王将奪取、五冠達成。もちろん最年少記録だ。
異論もあるだろうが、現在藤井聡太を除く棋界のツートップは、豊島将之、渡辺明だろう。
豊島将之に4連勝して竜王位を奪取した藤井聡太四冠は、今度は渡辺明に4連勝して王将位を奪取した。
もはや二番手と1馬身以上の差をつけたように見える。
しかし、結果はともかく一局一局は一方的な将棋は少なく、どの将棋も名局と呼ぶのが相応しい内容だった。
将来、渡辺明名人に藤井聡太が挑戦することになった時に、さらなる熱戦を期待したい。
失冠した渡辺明名人にとっては、斎藤慎太郎八段との名人戦七番勝負が正念場となる。


渡辺王将との王将戦

第4局 矢倉

下図は、両者が戦った第92期棋聖戦第三局と全く同じ局面。

渡辺王将が▲8八銀として前例(▲6六銀)を離れた。
その後の指し手は、ほぼソフトの最善手とされるもの。
渡辺王将の深い研究が窺われる。


下図は封じ手局面。
形勢はやや先手持ちというくらいの互角の形勢。

封じ手は△7六歩。
これに対する応手が難しい。
実戦の▲2一歩成は正解だが、▲7六同銀の方が分かりやすかったかもしれない。
△5三角に▲7六銀の正解を選べず、▲8八銀と逃げたため△4四銀を許した。
渡辺名人のブログによると▲7六同銀でなく▲8六銀が優ったとある。
△7七銀に▲7五歩△7八銀成▲同玉△7五角▲2二と△同金で、金を取っても後手の攻めが厳しく先手が思わしくないようだが、ここで▲7五銀がある。
△同飛なら▲8六角で先手勝ち。
また△7七銀に▲同金△同歩成▲同銀と受けに回るのも有力。
▲8六銀の方が▲8八銀より、当たりを避けている。
この選択が勝敗を分けた。

封じ手開封直後、次の▲8八銀では▲8六銀が勝りました。対局中はここが重要な分岐という認識はなかったのですが、藤井竜王は局後の第一声で▲8八銀△4四銀で感じが良くなったと言っていたので、この辺りの判断の差がそのまま結果に出ています。(渡辺明ブログより)


この将棋は△4四銀が想像以上に大きな手だった。
受けては▲2二とに△4三金左と躱せるし、攻めては△3五銀▲同角△3四飛がある。
先手は▲7六同銀と先手を取って△4四銀を指させてはいけなかった。


第3局 相掛かり

後手の縦歩取りからの千日手狙いに対し、藤井聡太の▲8六歩が研究手。
次の▲8七金という形が新しい感覚だ。



第2局 角換わり相早繰り銀

渡辺王将の▲6六歩型に△4四歩と同形にするのもあるが、藤井四冠は仕掛けて悪くないとみている。
▲2五歩の継ぎ歩に△7六歩と押さえ、これに▲6八銀が定跡。
△8六歩▲同歩△同銀には▲2四歩△2二歩から▲8三歩△同飛▲7四角とした実戦があり、また単に▲5六角としても間接的に8九の桂を守っている。


▲6八銀に△6六銀も有力。
▲2四歩△2二歩▲2五飛とした実戦例もある。
△3五歩が手筋だが、▲同飛△2六角の王手飛車に▲3七角が用意の一手。
したがって▲3五同飛には△4四角と打って▲6五飛に△7七歩成となる。


▲2五飛に△4四銀▲6五飛△7七歩成と進んだ実戦例も幾つかあり、互角の形勢。


また、△6六銀に▲7七歩と合わせ、△同歩成▲同銀△同銀成▲同桂と捌く順も有力。


藤井四冠は、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛と穏やかな順を選択した。


図の△8八歩は自身最長の考慮時間で指された。
他に△3六角▲2六飛△4七角成▲5六銀△3五銀の変化も有力だが、この桂頭短打の歩の方がソウタ好みだ。
▲2三歩成△同歩▲同角成には△3六角でも△8九歩成でも後手が指せる。
ただし、△3三桂は▲同馬があって危ない。


実戦は▲8八同金だが、疑問手で、まだしも▲2三歩成の方が良かったらしい。





第1局 相掛かり先手早繰り銀

将棋の王将戦で藤井聡太が指した一手が大きな反響を呼んだ。
強気に自陣の守備ラインを上げるような手で、相手の攻めを誘発する恐れもある。
「常識外れの一手」とワイドショーは紹介したが、実は類似した局面では将棋AIが時折示す手だ。

「新時代の手という感じで一日目の朝から大長考を余儀なくされた」(渡辺明)
「これがいい手だというなら、私が習ってきたことはすべて間違いだったということになる」(神谷広志)
「古い棋士ほど先入観からなかなか抜け出せないが、藤井さんは普通の手だと思っている」(勝又清和)
「珍しい手です。いくつかの候補には含まれるんですけど、違和感のある形なので準備がないと指せません。引き出しの多さを感じました」(高見泰地)
「AIの手といっても藤井さんだから指しこなせるのであってマネしない方がいい。」(永瀬拓矢)
「相掛かりでは部分的に出てくる手。指してみようと思いました」
「点数(評価値)そのものより、局面をどう見るかが大事だ」

「将棋は本当に奥が深いゲーム。どこが頂上か全く見えない」(藤井聡太)

驚いたことに類型での▲8六歩は実戦例があった。
その後も類型で▲8六歩を指す若手が現れている。
将棋は深いだけでなく広い。



王将リーグ最後の対局 相掛かり6八玉型

   


A級昇級に向けて~鬼の住処(すみか)B級1組 part2

対横山戦(6回戦)相掛かり

対郷田戦(7回戦)角換わり

対松尾戦(8回戦)相掛かり

対近藤誠戦(9回戦)角換わり

対千田戦(11回戦)相掛かり

対阿久津戦(12回戦)横歩取り