将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【雁木・角換わり変化形】

5筋位取り

渡辺JT杯覇者の序盤は、巧緻を極めている。
5筋のクライを確保した図の局面は、すでに後手が指しやすい。
放置すれば△6五歩▲同歩△8六歩▲同歩△7三桂と攻める。
そこで広瀬九段は▲5六歩と反発したが、苦しい。

棒銀

開始日時:2022/03/03 12:43:18
棋戦:R対局 持ち時間15分
先手:maguma.k(1633)
後手:JKishi18gou(4343)
▲7六歩 △8四歩 ▲7八金 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲6八銀 △7二銀 ▲4八銀 △7四歩 ▲4六歩 △7三銀
▲4七銀 △8四銀 ▲5六銀 △7五歩 

ここで▲6五銀や▲7五同歩も考えられるが、既に後手ペース。


▲2二角成 △同 銀
▲5五角 △7三銀 ▲7五歩 △6四銀 ▲6六角 △5四歩
▲6九玉 △3三銀 ▲7四歩 △5五歩 ▲同 銀 △4七角
▲5八金 △7四角成



231手の熱戦。竜王戦挑戦者決定戦第二局

△3四歩なら角換わりになるところ、△6二銀としたのが深浦九段の工夫。
力戦志向だ。
広瀬八段得意の角換わりを後手番で受けるのを嫌ったか?
第一局を勝った深浦九段は、この将棋に勝てば竜王戦の挑戦者になる。
この一局に懸ける思いは想像できないくらい大きい。

先手の広瀬八段は、バランス重視の駒組み。
伊藤果九段が得意にしていた「風車戦法」のようだ。
後手は、飛車先を切られたものの、角換わりのようにすぐに終盤戦になることはない。善悪はともかく、腰の重い深浦九段のペースになった。作戦は成功といえる。

図の局面から数手を経て、先手は左右の桂を跳躍して中央突破を図ったが、△5五桂の反撃が厳しく、後手有利の終盤戦になった。
ツノ銀雁木のような金銀分裂形は、指しこなすのは難しい。
しかし、竜王挑戦のかかった勝負なので広瀬八段も諦めるわけにはいかない。

△8七飛成に▲7八銀と先手を取らずに▲6八金打と固め、△8九竜に▲5八玉としぶとく頑張る。
しかし、△3九角▲6九桂に△5七歩▲同金左△7七歩と厳しいと金攻めが来た。
▲6七銀は仕方ないが、上部脱出も困難で希望の見えない粘りだ。
しかし、ここで△7九角としたのが躓きのはじまりだった。
替えて△8八竜ならと▲3八金に△5七角成として①▲同玉なら△7九角で、次の△7八歩成が厳しく、②▲同桂なら△7八金と重く攻めて明快だった。


△7九角には▲7七金と歩を払って△8八角成に▲7八銀打△7九竜▲8五飛と飛車に喝が入って先手にも希望の光が差してきた。
△7三桂に▲8一飛成と王手して△3二玉に▲3八金△8五桂打ち▲3九金△7七桂成▲4八玉と逃げた。

※局後の感想※

代えて▲7七同銀は有力だったようだ。以下△7七同馬▲同桂に(1)△3九竜は▲4九歩で寄らない。(2)△6八銀も▲4六銀△3七金▲同銀△5九竜▲4七玉△5七銀成▲4六玉で、次の▲3一金を見て際どく先手が残しているか。


ここから△6七成桂▲同銀△6九竜と迫った。
先手は▲8八竜と馬を取って開き直ったが、先手玉は危なっかしい。


人間同士の戦いを堪能した。
第一局を落とした広瀬八段は崖っぷちですし、これに勝てば挑戦という深浦九段も平常心ではいられない。
勝ちの局面が長かっただけに深浦九段にとって悔いの残る将棋だった。



広瀬章人八段が竜王戦挑戦者に 

先ほど広瀬vs深浦(第31期竜王戦挑戦者決定戦第三局)が終了。
その結果、広瀬八段が深浦九段に勝利し、2勝1敗で羽生竜王への挑戦権を得た。
広瀬八段の最近の充実ぶりを見ると、正直、羽生竜王にとって厳しい七番勝負だ。


初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀 ▲6八玉 △4三銀
▲2五歩 △3三角 ▲3六歩 △8四歩 ▲3七銀 △3二金 ▲7八銀 △8五歩
▲7七角 △7二銀 ▲3五歩 △7四歩 ▲3四歩 △同 銀 ▲3八飛 △7三銀
▲2六銀 △4三銀 ▲3四歩 △2二角 ▲3五銀 △6四銀




振り駒で先手を得た広瀬八段のは、深浦九段の雁木模様に対し、早繰り銀の積極策。
対して後手には様々な対策が考えられる。△3二銀型から△4五歩と捌く手段や、△7二銀~△8三銀~△7四銀~△6五銀の鎖鎌銀など。
深浦九段の選択は、早繰り銀。
先手玉の方が戦場に近いのと、角頭の守りが薄いのが主張。


上図までの手順中▲3四歩の押さえが平凡ながら急所で、攻撃の拠点を築きながら、△2二角とさせることによって、後に△4五歩と反撃し難くなった。
しかし、プロにとってこの▲3四歩は打ちにくい手のようで、羽生竜王は類型から単に▲3五銀と出ていた。
図から▲2四歩△同歩 ▲2八飛が広瀬八段の工夫でこの形の決定版。
そこで△5四歩としたが、△8六歩や△7五歩などど歩を渡すと▲2三歩△同金▲2四銀が厳しい。
△5四歩は先手の▲2四銀には△3四銀として、▲2三歩△3一角▲4四角に△3三歩で受かるという意図。
他には△4五歩▲2二角成△同金▲7七角△5五角▲同角△同銀▲2四飛△2三歩▲2六飛△3二金▲3七桂という進行も感想戦で並べられたが、先手が良さそう。


△5四歩に▲2四飛△2三歩▲2六飛と好形を築いたが、アマなら▲3三歩成△同角▲2四銀とsimpleに攻める順も面白い。


図からの指し手
▲2四歩 △同 歩 ▲2八飛 △5四歩 ▲2四飛 △2三歩 ▲2六飛 △7五歩
▲3七桂 △8六歩 ▲同 歩 △7六歩 ▲同 飛 △8五歩



図の△8五歩に広瀬八段は▲2五桂と手抜きし、継続の△8六歩に▲8四歩が洒落た手。
△同飛なら次の△8七歩成に▲9五角の準王手飛車を用意している。
それでも△同飛とする変化も有力で、▲3三歩成△同桂▲4四銀△8七歩成▲9五角△4四銀▲8四角△7三歩▲7四歩として、次の▲8二飛△7二銀▲7三歩成△同桂▲同飛成を狙うことになる。


遡って図の△8五歩では△8八歩▲同角△8五歩の方がより厳しかったか。


図からの指し手
▲2五桂 △8六歩 ▲8四歩 △7三桂 ▲7四歩 △8七歩成 ▲7三歩成 △7五歩
▲2六飛 △7七と ▲同 桂 △7三銀 ▲3三桂打



先手は角桂交換の駒損だが、手番を握って▲3三桂の俗攻めが厳しく、優勢になった。


図からの指し手
△4五歩 ▲2一桂成 △5五角 ▲3三歩成 △3六歩 ▲3二と △7六歩 ▲6五桂
△7四銀 ▲7三金 △7七歩成 ▲同 銀 △6五銀 ▲8二金 △9五角




厳しい反撃ですが、先手に用意の受けがあった。


図からの指し手
▲5八玉 △7七角右成▲8三歩成 △6二玉 ▲3六飛 △1九角成 ▲4二と △6六香
▲4三と △6七香成 ▲4八玉 △5七成香 ▲3八玉 △4七成香 ▲同 玉 △5五桂
▲3八玉 △4七銀 ▲3九玉
まで91手で先手の勝ち

三浦弘行vs深浦康市(A級順位戦) 

開始日時:2018/01/17 10:00:00
終了日時:2018/01/18 0:43:00
棋戦:順位戦
戦型:矢倉
先手:三浦弘行 九段
後手:深浦康市 九段
場所:東京・将棋会館
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲7八金 △8五歩
▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △4四歩 ▲4八銀 △4二銀
▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △5二金 ▲6九玉 △5四歩
▲3六歩 △4一玉 ▲3七桂 △4三金右 ▲2五歩 △3三角
▲6六歩 △7四歩 ▲6七銀 △3一玉 ▲5八金 △9四歩
▲9六歩 △5三銀右 ▲5六歩 △7五歩 ▲4五歩 △7六歩
▲同 銀 △7二飛 ▲6七銀 △6四歩 ▲7六歩 △6五歩
▲2四歩 △同 歩 ▲3五歩 △6二飛 ▲6五歩 △4五歩
▲2九飛 △7七角成 ▲同 桂 △4四銀 ▲6四角 △9二飛
▲3四歩 △8六歩 ▲2三歩 △同 金 ▲3六銀 △6六歩
▲同 銀 △6八歩 ▲同金左 △8七歩成 ▲2五歩 △3四金左
▲8四歩 △3五歩 ▲4七銀 △4六歩 ▲同 角 △3六歩
▲8三歩成 △3七歩成 ▲同 角 △5二飛 ▲9一角成 △2五歩
▲2四歩 △3二玉 ▲8一馬 △5三飛 ▲8二馬 △7四桂
▲7五銀 △6七歩 ▲同金直 △6六歩 ▲6八金引 △8八角
▲7九香 △9九角成 ▲3六桂 △6七香 ▲5九玉 △6八香成
▲同 金 △7七と ▲同 香 △3五桂 ▲5八銀 △3八金
▲7四銀 △4七歩 ▲4九飛 △4五銀 ▲3九香 △4九金
▲同 銀 △3六銀 ▲5八玉 △9八飛 ▲7八桂 △4五銀
▲5七玉 △2四金 ▲6六玉 △6二桂 ▲7三銀成 △7四歩
▲6二成銀 △8八馬 ▲6四歩 △7八馬 ▲同 金 △同飛成
▲6五玉 △8一歩 ▲7二馬 △8二桂 ▲6三歩成 △7三金
▲6六金 △5六銀 ▲同 金 △6七龍 ▲6六歩 △5五歩
▲3五香 △同 金
まで140手で後手の勝ち