将棋備忘録

殴り書きの備忘録なので、読みづらい点はどうかご容赦を!

【対振り飛車】急戦(その3)右四間飛車

ハチワンダイバー





【対振り飛車】急戦(その3)として右四間飛車戦法を採り上げるが、持久戦の変化を含むことをお断りしておく。
要望が多いのか、右四間飛車の本を良く見かける。
最初に右四間飛車戦法に注目したのは、打倒大山に執念を燃やした故山田道美九段。
数多の本がある中、名著『現代将棋の急所』の果たした功績は大きい。
研究家山田九段は、右四間飛車に天守閣美濃を組み合わせることによって、有力な振り飛車対策と考え、実戦で試す前にこの書で研究を公開した。
私たちアマチュアは、プロとしては損になることを厭わない山田九段のサービス精神に感動し、ファンになった。
『現代将棋の急所』は、実戦より研究が好きだった私にとってバイブル。
右四間飛車が得意戦法となった。


その後、山田道美九段の流れを汲む田丸昇九段が、急戦で大山康晴15世名人を破っているが、プロの対振りでは居飛車穴熊に比べて人気が薄い。
しかしアマチュアでは名著の影響もあってか「石田流」や「中飛車」「四間飛車穴熊」などと並んで人気の戦法。
内田昭吉さん(神奈川県・棋道指導員六段)の右四間穴熊は、アマ界で一時代を画した。
果たしてこの人気戦法が将棋AIの精査にどこまで耐えうるか、ここで検証してみたい。


スピード違反の居玉急戦(対三間飛車)

1992学生名人、1998~2001朝日アマ名人、2003・2004アマ名人という輝かしい実績を持つ山田敦幹(千葉県)さん。
早稲田大学時代からずっと三間飛車を駆使してアマトップになった。
その頃、三間飛車に対する図のような居玉での早仕掛けが、私を含む一部のアマチュアで盛んに研究された。


初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八飛 △6四歩
▲6八銀 △6三銀 ▲5六歩 △5四銀 ▲5七銀 △6二飛
▲6八飛 △6五歩 

図からの指し手
▲7七角 △6六歩 ▲同 銀 △6五歩 ▲5七銀 △7七角成 
 ▲同 桂 △6六角

この俗手の角がうるさい攻め。


図からの指し手
▲6七飛 △5七角成 ▲同 飛 △6六銀 ▲5八飛 △7七銀成 
▲5五歩 △4五銀


▲5五歩で単に▲8六角と打つのは△6六歩が好手で後手良し。 

ここで1.▲5四歩、2.▲8九角、3.▲6三歩などの手段が研究された。


  1. ▲5四歩△同銀▲8六角とすれば、先の△6六歩には▲5三角成で先手良し。しかし、△6七成銀で難しい。
  2. ▲8九角は当時先手有望ではないかと調べられた。銀取りを先手で受けようとする△6七桂の王手は「王手は追う手」の悪手で▲4八玉とされて、後手から有効な攻めがない。△3三桂と紐をつけるが、先手は△6七成銀を防ぐことができたので▲5四歩△同銀▲8六角が有効になる。▲5四歩に△同歩は▲4五角△同桂▲3三角の王手成銀取りで先手が面白いのではないかと思っていた。しかし、AIの診断によれば、△4二金▲7七角成△5五桂で後手が少し良い。
  3. ▲6三歩は、△同飛▲9六角△7四桂▲9五角(図)という狙い。両取り逃げるべからずと△6六歩として▲7四角に△6四飛となって先手が忙しい。

どの手段も少し後手が良いようだ。
先手としては、そもそも初形が問題だったようだ。
早く▲5七銀型を作る作戦は、振り飛車が危険。
居玉のまま5筋を突くのはリスクが高い。

対四間飛車

久保九段の四間飛車に対し、飯島八段は右四間飛車から▲1七桂。
筆者が若い頃、アマチュアで流行した戦型だが、今見ると軽すぎて自信がない攻めだ。 

図からの指し手

△3二金 ▲2五桂 △2二角 ▲4五歩 

ここで図の△5五歩も指してみたい手。

▲同銀には△4五歩

▲同角には△2四歩▲4四歩に△同銀が角に当たるという意味。


実戦の変化

△2四歩 ▲4四歩 △2五歩
▲4五銀 △5二金 ▲3四銀 △4四角 ▲同 角 △同 銀
▲4三歩 △同金左 ▲同銀不成 △同 金 ▲4四飛 △同 金
▲5三銀 △4三飛 ▲6二角 △5五角 ▲8八銀 △2九飛
▲6八金寄 △6二銀 ▲同銀成 △3四金 ▲7一銀 △9二玉
▲5六歩 △3三角 ▲9五歩 △4九飛上成 ▲7七銀 △5七銀
まで60手で後手の勝ち


案の定、短手数で右四間の負け。

しかし、チャンスが隠れていた。

図から▲4三歩成△8八角成▲同銀△4三金▲3一角なら先手プラスの局面だった。



右四間飛車米長玉(持久戦)

▲7七角には角頭を狙う

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲4八玉 △6三銀 ▲3八銀 △5四銀 ▲3九玉 △1四歩
▲1六歩 △4二玉 ▲7八銀 △3二玉 ▲6七銀 △5二金右
▲7七角 △7二飛 ▲2八玉 △8四歩 ▲5八金左 △7四歩
▲5六歩 △2四歩 ▲4六歩 △2三玉 ▲3六歩 △3二銀
▲2六歩 △1二玉 ▲2七銀 △2三銀 ▲3七桂 △4二金寄
▲3八金 △3二金上 ▲6九飛

ソフトで精査すると、腰掛け銀に組んだ後、山田道美著『現代将棋の急所』に推された天守閣美濃を経て、米長玉まで囲うのが有力のようだ。


飛車は右四間に決めず、▲7七角や▲5六銀には図のように△7二飛と袖飛車にする。
▲6九飛は、▲1八香~▲1九飛という地下鉄飛車という狙いもあるが、△3三角~△2二玉と躱されるくらいで攻め切れない。
真の狙いは▲4五歩~▲6八角の活用。
米長玉は2四が弱点だ。


飛車で7筋の歩を交換し、△3三桂と▲6八角が来る前に動く。
▲4九飛と受けても△4五桂で数が負けている。
そこで▲7六歩△7二飛▲4九飛が考えられるが、構わず△4五桂▲同桂△4四歩として▲5三桂成△同金となると▲5五歩は利くものの△4三銀と引いて後手の方が駒の働きが良い。


このように右四間飛車に拘らないのが腰掛け銀の形を生かすコツだ。
しかし、次に述べるが、角交換四間飛車に対して右四間から面白い狙いがある。

それが地下鉄飛車。
角打ちの隙を作らず地下鉄飛車にするため、右四間は、うってつけの位置なのだ。

角交換四間飛車に対する右四間飛車

地下鉄飛車を狙う右四間飛車

初手からの指し手
▲7六歩 △4二玉 ▲1六歩 △3四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲1五歩 △6四歩 ▲4八玉 △6三銀 ▲3八玉 △2四歩
▲5八金左 △6二飛 ▲2八玉 △7二金 ▲3八銀 △6一飛
▲4六歩 △3二金 ▲3六歩 △8八角成 ▲同 銀 △2二銀
▲7七銀 △3三桂 ▲4七金 △1二香 ▲7五歩 △2三銀
▲6六歩 △1一飛 ▲7六銀 △1四歩 ▲同 歩 △4四角
▲2六角 △同 角 ▲同 歩 △2五歩 ▲同 歩 △1四香
▲同 香 △同 銀 ▲1二歩 △同 飛 ▲6五歩 △同 歩
▲同 銀 △6七歩 ▲同 飛 △2六香 ▲3七玉 △2九香成
▲同 銀 △5五桂 ▲6六飛 △2五銀
まで58手で後手の勝ち


端の突き越しを逆用されてしまった。
▲7六銀としての先手の6筋攻めは、放置しても大したことないし、△6七歩もある。


相性のいい筋違い角

初手からの指し手
▲7六歩 △4二玉 ▲6八飛 △7二銀 ▲4八玉 △6四歩
▲6六歩 △5二金右 ▲3八玉 △6三銀 ▲6五歩 △同 歩
▲同 飛 △3四歩 ▲6八飛 △6二飛 ▲2二角成 △同 銀
▲7八銀 △3三銀 ▲7七銀 △4五角 (図)▲7九金 △6四銀
▲4六歩 △5四角 ▲4八銀 △3二玉 ▲3六角 △同 角
▲同 歩 △6五歩 ▲4七銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四歩
▲4八金 △4四歩 ▲7八金 △2二玉 ▲6九飛 △9四歩
▲5六歩 △4二金上 ▲2六歩 △5四角 ▲6六歩 △7三桂
▲6五歩 △同 角 ▲3七桂 △5五銀 ▲6七金 △5六角
まで54手で後手の勝ち


後手は、J棋士18号。
対振りに腰掛け銀を好む。



(持久戦1)右四間飛車穴熊

右四間飛車穴熊の狙い筋①▲3五歩の角頭攻め

△8三銀と後手の金が浮いた瞬間、▲3五歩が定跡の仕掛けで、△同歩には▲3八飛でなく▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲3四角が厳しい。
しかし実戦は▲3五歩に△同歩と取ってくれない。
△7五歩や△9五歩と攻められ、▲3四歩△2四角となっても▲4五歩と攻めることができず、次の攻めが難しい。
右四間飛車穴熊は、いつでも振り飛車側から△7五歩▲同歩△7六歩や△8五桂と角のラインを消す手があるので注意が必要。
ソフトで検証すると、振り飛車の端攻めの反撃が有効で、それほどうまくいかないようだ。

右四間飛車穴熊の狙い筋②▲4五歩から角交換の攻め


図から▲4五歩と仕掛け、△同歩▲3三角成△同桂に▲7七角と自陣に打つのが巧妙な一手。△4三飛に▲4五桂△同桂▲4四歩が先手で△4一飛に▲4五銀と桂を取り返して先手が好調。
しかし、ソフトで検証したところ、このタイミングで△8五桂と跳ねるのが有効で、▲8六角(▲5四銀△同金▲8六角)に△2七角から飛車を目標に攻めて、後手が少し指しやすい形勢。
なお、最初の▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲7七角△4三飛▲4五桂に△同飛▲同銀△同桂と二枚替えして後手が指せるというのが昔の定跡だが、▲3三角成や▲1一飛とされると先手の二枚飛車が厳しく後手が勝てない。


谷川浩司の振り飛車

谷川浩司対菅井竜也(棋王戦)から取材。
谷川九段は、若い頃振り飛車党だった。
振り飛車の実戦を集めた著書も刊行している。
後手の菅井八段は、居飛車を指すこともあったが、A級に昇段した現在は振り飛車党に戻ったようだ。

居飛車穴熊には角のラインで攻めよ

おそらく谷川九段も菅井八段の振り飛車を予想し、三手目に▲9六歩と様子見。
後手がおとなしく△9四歩と受けたのを見て▲6六歩と相振りに誘導。
端を突き合うと、後手は美濃囲いに組みにくい。
そこで菅井八段は右四間飛車に。
しかし、穴熊を目指したのは危険な駒組みだった。

図から▲9五歩が機敏な仕掛け。

後手陣の急所は角頭。

端で一歩入手できるようにして▲3五歩と角頭を攻めれば、△同歩に▲9五香△同香▲3四歩△2四角▲6五歩△3二玉▲1一角成など穴熊に囲おうとしたのが裏目になってしまう。

▲9五歩△同歩▲3五歩に手抜いて△1一玉としたが、▲3四歩△2二角▲4七金△4四歩に▲1五歩と端攻めして後手に立ち直る暇(いとま)を与えない。

△1五同歩に▲1四歩で△同香には▲3六金として△2四歩と▲2五金を防いでも▲3五金と狙われ、△1三角には▲6五歩と角を活用して先手優勢。

実戦は▲1四歩に△4三金としたが間に合わず、▲1五香△3四金に▲1三歩成と端攻めが決まった。


谷川浩司の振り飛車をもっと見たいものだ。


先崎学 vs. 鈴木大介 (順位戦)~序盤巧者が先手番用に準備

先崎学六段(当時)対鈴木大介五段(当時)から取材。
右四間飛車穴熊は、先後の違いが大きい。
順位戦は、あらかじめ先後が決まっていて、先崎八段は、昇級を賭けた全勝同士の大一番をこの戦法に託した。

三手目▲4八銀は居飛車党相手にはリスクがある。
振り飛車党相手に限っての勝負本位の指し方だ。
図のように▲2六歩も▲3六歩も省略して一目散に囲い、玉側の端は受ける。
このあたりがこの戦法のPointか。


振り飛車から△4五歩の仕掛け

図から△4五歩の変化が少し気になる。
形が乱れるのを嫌って▲3三角成△同桂▲6六角△3二金▲4五歩は△同銀▲同銀△同飛▲同飛△同桂で▲4一飛には△4二飛がぴったり。
▲4五同歩が正解で、△7七角成▲同桂と玉が薄くなるが、△3三桂▲4四歩△3五角▲6六角△6四歩としても、▲8八銀で後手から次の手段がない。
また△1四角は▲5九金左△4五銀▲同飛で大丈夫。
しかし、△4五歩の仕掛けは、居飛車穴熊に対する振り飛車の切り札なので、注意が必要だ。


相穴熊の△4五歩

下図は、居飛車の▲3六歩の仕掛けに△4五歩と反発した局面。
フラッドゲートでの将棋だ。 

やむを得ない反発だが、形勢はやや先手持ち。



△6五銀の仕掛け

上図のように△6五銀とぶつけてくるのが、四間飛車の常套手段。
これには▲同銀△同歩▲5六銀が、△8五銀に▲6五銀を用意した定跡の一手。
後手は、一旦は△6三金と抵抗したが、結局△6四銀と手放した。
このあたりの変化や、その後の先崎八段の指し回しは、先崎学著『先ちゃんの順位戦泣き笑い熱局集』をご覧下さい。



正しい△6五銀の仕掛け


▲2六歩を省略しているのが先崎八段の工夫。
通常の▲2六歩型だと、玉の囲いが遅れているため△6五銀ぶつけが成立。
図の局面から▲6五同銀△同歩▲5六銀△8五銀▲6五銀△6二飛▲6六歩△6五飛▲同歩△7六銀が変化の一例で、後手が指せる。


桂の応援がある△6五銀の仕掛け

上図のように桂馬を活用してから△6五銀とぶつける手段も実戦で頻出する。
これには▲6五同銀と取って△6五同桂に▲6八角と引く。
▲6六角と逃げるのは角が狭く、△5四歩と△5五銀打を見られて困る。▲5六歩には△5七銀がある。
▲6八角に△4五歩▲同歩△2四角が常套手段だが、惜しまず▲4六銀と厚く受け、▲6六歩の桂取りを見せる。
後手は暴れるしかないが、①△5九銀は▲同角△5七桂成▲同銀△同角成に▲4四歩が好手で、△4八馬▲同角△4四飛には▲9三銀!の王手が入る。△4八馬では△4七歩▲1八飛△4四飛くらいだが▲7七角から先手好調。②△5五銀の妙手は、▲同銀△5七桂成に▲8六角とお荷物の飛車を見捨てるのが好判断で、▲6四銀が厳しく先手優勢。(下記棋譜参照)
仮に後手が△8四歩型でも、△8五歩に▲9七角の余地があるので大丈夫。


なお、仮に先手が▲3六歩を突いている形なら、途中の▲4六銀で▲3五歩△同角▲4六銀△2四角▲3五歩という手段がある。
ソフトで精査したところ、図の局面では、後手としては△6五銀よりも△4五歩の方が面白いようだ。


△4五歩の変化①
▲3三角成 △同 桂 ▲4五歩 △2四角 ▲4七飛 △6五桂 
▲6六角 △4五桂 ▲同 銀 △同 飛 ▲同 飛 △同 銀 
▲1一角成 △4九飛 ▲7五歩 △5七角成 ▲4二飛△5一銀 
▲1二飛成 △7五馬 ▲6六馬 △5四銀 ▲7五馬 △同 歩 
▲6六桂 △2九飛成 ▲5四桂 △同 歩


△4五歩の変化②
▲同 歩 △7七角成 ▲同 銀 △3九角 ▲4七飛 △2八角成
▲4六飛 △2九馬 ▲4四歩 △1九馬 ▲4五銀 △5五銀
▲2六飛 △3一桂 ▲3四銀 △4四飛 ▲2二角 △3三歩
▲3一角成 △4八飛成 ▲2一馬 △6五桂 ▲8八銀 △3四歩
▲1一馬 △3七馬 ▲2三飛成 △5七桂成


参考棋譜
棋戦:R対局 早指し2(猶予1分)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲6八飛 △6二飛
▲4八玉 △7二銀 ▲3八玉 △6三銀 ▲7八銀 △5四銀
▲6七銀 △4二玉 ▲7七角 △7四歩 ▲5八金左 △3二玉
▲2八玉 △1四歩 ▲1六歩 △3三角 ▲3八銀 △2二玉
▲4六歩 △1二香 ▲3六歩 △1一玉 ▲4七金 △2二銀
▲3七桂 △5一金右 ▲5六銀 △3一金 ▲6九飛 △4一金右
▲4五銀 △同 銀 ▲同 桂 △4二角 ▲6五歩 △同 歩
▲8六角 △6四銀 ▲5五銀 △同 銀 ▲5三桂成 △2四角
▲6二成桂 △4六銀 ▲同 金 △同 角 ▲3七銀打 △5七角成
▲4二歩 △同金左 ▲5九飛 △5八歩 ▲同 金 △3九銀(△8四馬)
▲同 飛(▲2九玉) △5八馬 ▲4八歩 △3五歩(△5六歩) ▲4七銀打 △7六馬
▲6一飛 △1五歩 ▲同 歩 △1八歩 ▲同 香 △1七歩
▲同 香 △1六歩 ▲同 香 △2五金 ▲1九飛 △1六金
▲同 飛 △2五金 ▲1九飛 △1五香 ▲1六歩 △同 香
▲1七歩 △同香成 ▲同 飛 △1六香 ▲同 飛 △同 金
▲1九香 △1八歩 ▲1四香
まで93手で先手の勝ち


私の実戦から

アマ名人戦の予選で四間飛車に対し、右四間飛車を採用した。
相腰掛け銀から△7五歩▲同歩△7二飛と定番の仕掛けに出たところ、▲4五銀△同銀▲同桂と反撃された。

しかし、桂馬が4五に跳ねてくるのは居飛車穴熊としては歓迎。
▲4五銀では▲1五歩△同歩▲2五桂を警戒していた。
桂跳ねに△4四角とすると▲5六歩からいじめられるので、以前は△4二角の一択と思っていたが、AIの進化により、角銀交換でも右四間飛車側が指せることが分かった。


図からの指し手
△4四角 ▲5六歩 △7五飛 ▲5五銀 △7三桂 ▲4四銀 
△同 歩 ▲5三桂成 △8五桂 ▲8八角 △7九銀 ▲7六歩 
△同 飛 ▲5四角 △7三飛 ▲7四歩 △同 飛 ▲6三角成 


▲5五銀で角を取られたが、玉形の差が大きく居飛車穴熊側が良い。
驚くべきことに△5五同角▲同歩△7三桂で十分だったようだが、実戦では一秒も考えなかった。
▲4四銀と角を取らせて△同歩が桂取りの先手になるのが△7三桂とした理由だが、4三に空間が出来るのはそれ以上のマイナスということなのだろう。


△8五桂に当然のように▲8八角と逃げたが、▲8六角が優った。ただしそれでも居飛車穴熊有利。
△7九銀の両取りに▲7六歩△同飛▲5四角としたが、△7三飛がぴったり。
▲7四歩に△5三飛と成桂を取るか本譜の順か迷ったが、正解は△5三飛だった。
△5三飛は▲3二角成△同金▲7九銀で損と判断したが、▲3二角成にまさかの手抜きが成立した。
△5三飛▲3二角成△6八銀成で有利ということだが、人間では選べない。
実戦の△7四同飛が安全策で6三角成に▲6八銀成と飛車を取ったが、冷静に△7一飛(△形勢有利と思っていても、もっと良い順がないか探すマインドが必要だ。

端歩を受けない場合の危険性

端を受けないと杉本昌隆 vs. 郷田真隆 (王座戦 )のように△8五桂~△9七桂成~△4五歩の仕掛けが厳しい。


ソフトによると、△9七桂成では、△4一飛~△5二金~△9二香~△9一飛と地下鉄飛車にして力を溜める手段も有力のようだ。
図の局面から先手は▲同銀と取った。
▲同角と取るのは、△8五歩▲7七銀△9六歩▲8八角といった進行が予想され、桂得でも、端のキズや角の働きが悪いので郷田美学に反する。
しかし、▲同銀も△4五歩の王手が厳しく、まだしも▲同角と辛抱すべきだった。


振り飛車から▲6五歩の仕掛け(先後逆)

下図のような(仮想)局面ですと、▲6五歩が成立する。
△7四歩が不急の一手で、キズを作った。


図からの指し手(その1)
▲6五歩  △7七角成 ▲同 桂  △2二角  ▲8六角


以下△6五歩に▲同銀△同銀▲同飛となって四間飛車側が好調。
この仕掛けがあることを考えると、右四間飛車側は△8四歩の備えが必要だったか。
そうすれば図で△8五歩と角を狙うことができた。


また途中の▲8六角で▲9五角とする手には△8四歩が軽い手筋となる。
下の単に△同歩と取る変化で、同様の手順が現れる。


それでは仕掛け前の図を再掲する。


図からの指し手(その2)
▲6五歩  △同 歩  ▲3三角成 △同 桂  ▲4六角  △7三角
▲同角成  △同 桂  ▲4六角  △9五角  ▲8六歩  △4四歩
▲9六歩  △8六角  ▲8八飛  △6四角  ▲同 角  △同 飛
▲8三飛成

以上、右四間飛車穴熊の駒組みの注意点を述べた。
しかし今までの手順は、どれも振り飛車が積極的に動いてくれたため成立したもので、四間飛車が△5四銀と上がらず守備的に指した場合は、仕掛けをあせらず駒組み勝ちを目指す。
そのあたりは、また次の機会に。


有力な▲5七銀型四間飛車 

右四間飛車に対しては▲5七銀型四間飛車が有効。
▲6七銀と▲5七銀、この一路の差が非常に大きい。
居飛車党でも右四間飛車に対しては、▲5七銀型四間飛車に振る人もいる。
しかし、佐藤康光九段は、この▲5七銀型四間飛車に対しても穴熊から吹っ飛ばす。
実際、ソフトで検討してみても居飛車穴熊側の評価値が高いようだ。




図の▲4六歩では、先手としては▲4六銀と、急戦を挑みたい。


▲4六銀からの変化
▲4六銀  △1一玉  ▲5五歩  △同 銀  ▲4五銀  △3二金
▲3四銀  △2四角  ▲6九飛


上図となると一局の将棋。




途中の▲5八金に代えて▲7七角としておけば、先手は▲6五歩という仕掛けを狙えた。



図からの指し手
▲6五歩  △7七角成 ▲同 桂  △6五歩  ▲5五歩  △6三銀
▲4五銀  △2二銀  ▲3四銀  △5二金右 ▲6四歩  △同 銀
▲4五角


このようにいつでも▲5五歩と銀を退却させることができ、また左桂が活用できるのも大きい。
こうなると間違いなく振り飛車優勢だ。


△5三銀型三間飛車→四間飛車

藤森哲也五段の腰掛け銀に西田拓也四段は、三間飛車から四間飛車に振り戻した。


図からの想定手順
▲3三角成 △同 桂 ▲8八角 △4六歩 ▲3三角成 △4四角
▲同 馬 △同 銀 ▲3一角 △5五歩 ▲4二角成 △同 金
▲6五銀 △5三銀 ▲4八飛 △4七歩成 ▲同 金 △6四歩
▲4五桂 △6五歩 ▲5三桂不成 △同 金 ▲4一飛 △6六歩
▲同 歩 △6七角 ▲1一飛成 △7六角成 ▲8八銀 △7五桂
▲7八銀 △5二銀 ▲3一龍 △6七桂成 ▲7七香 △7八成桂
▲同 金 △5四馬 ▲3四龍 △4五角 ▲3一龍 △7八角成
▲同 飛 △6七銀 ▲4八飛 △6八歩



振り飛車の逆アタック


ここで▲6五歩が三間飛車の秘手。
4六歩と突いていないため△6五同歩には角交換して▲4六角が厳しい。



(持久戦2)右四間飛車天守閣美濃

持久戦から角頭を狙う

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲4八玉 △6三銀 ▲3八銀 △5四銀 ▲3九玉 △1四歩
▲1六歩 △4二玉 ▲7八銀 △3二玉 ▲6七銀 △5二金右
▲5六銀 △7四歩 ▲7七角 △6二飛 ▲2八玉 △2四歩
▲4六歩 △2三玉 ▲2六歩 △3二銀 ▲3六歩 △7二飛


不用意に先手が銀を腰掛けたため、△7二飛と角頭を狙われてしまった。
△7三桂を見てから腰掛けるべきだった。
図から▲8六角と受けたが、自然に△6五歩と攻め、▲6四角には△7三桂で問題ない。
せめて▲9八香としておけばこの攻めはなかったが、代わりに△7五歩▲同歩△7二飛▲8六角に△8四歩という攻めがある。


ところで、この手順は△6二飛と振ってから△7二飛としたので手損になっている。
そこで次の工夫が生まれる。

右四間保留

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲4八玉 △6三銀 ▲3八玉 △5四銀 ▲2八玉 △4二玉
▲3八銀 △1四歩 ▲1六歩 △5二金右 ▲5八金左 △3二玉
▲7七角 △2四歩 ▲7八銀 △2三玉 ▲6七銀 △7四歩
▲5六銀 △3二銀 ▲4六歩(図)


右四間飛車に決めないのが工夫。
6筋を無防備にして先手の▲5六銀を誘っている。
しかし、▲6五歩には△7七角成▲同桂△4四角で対抗できるので大丈夫。
ここから△7二飛と、薄くなった角頭に狙いをつける。
△7五歩▲同歩△7二飛の方が調子がいいが▲6五歩とされると厄介。
単に△7二飛が正解で▲8六角には△6五歩と攻めて良い。


図からの指し手
△7二飛 ▲4五銀 △同 銀 ▲同 歩 △7五歩 ▲6一銀 
△7六歩 ▲8六角 △7四飛 ▲5二銀成 △同 金 ▲4七金 
△7七歩成 ▲同 角 △7六銀 ▲7五歩 △7七銀成 ▲7四歩 
△6八成銀 ▲8二飛 △6三角 ▲7三金 △同 桂 ▲同歩成 
△8五角 ▲7四桂 △7九飛 ▲3九金 △4一金 ▲6二桂成 
△7三飛成 まで58手で後手の勝ち


(急戦1)右四間飛車舟囲い

模範的な右四間飛車対策


昔の定跡

初手からの指し手
▲7六歩  △3四歩  ▲6六歩  △6二銀
▲7八銀  △4二玉  ▲6八飛  △3二玉
▲4八玉  △6四歩  ▲3八玉  △6三銀
▲2八玉  △5四銀  ▲3八銀  △6二飛
▲7七角  △5二金右 ▲6七銀  △9四歩
▲5八金左 △7四歩  ▲9八香  △1四歩
▲1六歩  △7三桂  ▲5六銀



図の局面、後手が△8四の歩を省略しているのがPoint。
この効果は最後にわかる。


図からの指し手
△8五桂  ▲8六角  △6五歩  ▲同 銀
△同 銀  ▲同 歩  △7七銀  ▲同 桂
△同桂成  ▲6九飛


途中の▲8六角では、▲8八角が最善。
以下△6五歩▲同 歩 △8八角成 ▲同 飛 △3三角 ▲6八飛 △9九角成
▲8六歩 △8九馬 ▲8五歩 △4四桂 ▲7三角 △5六桂 ▲同 歩 △同 馬 ▲4八桂 △5五馬 ▲同角成 △同 銀 ▲7三角 △7七角 ▲6四歩 △6八角成 ▲同 金 △6七歩が変化の一例。
角交換になると、▲7三角の反撃が楽しみ。


▲6五同銀で▲6五同歩は、△9九角成▲6四角△8九馬▲9一角成△7七桂成▲6六飛△9八馬▲6四香△7二飛▲8一馬△7三飛▲8二馬△7二香といった変化が予想される。
この変化も後手が良いのだが、先手にとっては有力な変化だ。


図から△7八成桂とするのがよく見かける定跡で、ソフトの見解でも最善策。
以下▲6七飛△5五桂▲6六飛△4七桂成▲3六飛△5八成桂▲同金△3五金というのが変化の一例。
△5五桂の代わりに△1五歩という手もあるが、かまわず▲6四歩で先手有利。
しかし、ここでは別の手段を研究する。


図からの指し手
△8七成桂 ▲6四角  △7八成桂 ▲6七飛
△7七成桂 ▲6九飛  △6八歩  


△8七成桂と一歩手持ちにして△6八歩と攻める。
角取りを手抜いて▲6四歩も有力だが▲6四角も自然な手だ。
△6八歩では、△7八成桂と千日手にする権利もあるし、△6六桂という攻めも有力。




図からの指し手
▲8九飛  △8八成桂 ▲9一角成 △6五飛  
▲6六歩  △8五飛  ▲9六銀  △8四飛


先手の▲8九飛が習いのある手筋で、飛車を僻地で取らせて、その間に攻め合うのが先手の考え。
ソフトの見解でも最善策で、形勢も先手が少しプラスの評価。
▲5九飛では△7八成桂で傷が広がる。
もちろん▲6八同金△同成桂▲同飛△7七角成と受けに回る変化も有力だが、飛車を目標に攻められるのは、実戦的には嫌だ。
後手も手順に飛車を捌き、見ごたえのある好防だ。

図のように△8四飛と引けるのが、△8四歩省略の効果。
▲無理矢理8五香とすれば飛車を取れるが、投資額が大きすぎる。
6八に打った歩は、やがて「と金」となって金を剥がすことができる。
歩切れなどを考えると、先手を持って自信のない形勢。
途中、千日手にされる変化があるのも不満。


途中▲6六歩で▲6七香が先手にとって最善で、△8五飛に▲6三歩と垂らして攻め合う。
これがあるので△8七成桂では定跡の△7八成桂が優る。


船囲いからの右四間飛車急戦は有力だが、最善に対応されるとうまくいかない。
そこで現代では囲いが進化した。
下に述べるエルモ囲いだ。


(急戦2)右四間飛車エルモ囲い急戦

ソフト開発者に贈られた升田賞

『将世2020・6』p.163~で取り上げられているエルモ囲い急戦。
2020年度升田賞に輝いた。
受賞の栄誉はソフト開発者に贈られたが、大橋貴洸六段が用いて優秀だと知られるようになった。
大橋姓は、将棋と縁が深い。
将来の名人候補だ。




ソフトのエルモ右四間


図から△6五銀が普通だが、△6五歩と押さえて金を5五まで活用して勝つのがJ棋士18号。


参考棋譜
開始日時:2017/12/16 11:40:35
棋戦:R対局(早指2)
先手:yukuto(1126)
後手:JKishi18gou(2849)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八飛 △6四歩
▲6八銀 △6三銀 ▲4八玉 △4二玉 ▲3八玉 △1四歩
▲1六歩 △5四銀 ▲5八金左 △3二玉 ▲2八玉 △6二飛
▲3八銀 △4二銀 ▲7五歩 △3一金 ▲7七銀 △6五歩
▲6八飛 △6六歩 ▲同 銀 △6五歩 ▲7七銀 △5二金
▲6七歩 △6三金 ▲7六銀 △8八角成 ▲同 飛 △3三角
▲7七角 △6四金 ▲8六歩 △5五金 ▲8五歩 △6四飛
▲8六飛 △6六歩 ▲8七飛 △6七歩成 ▲同 金 △6六歩
▲6八金 △6五銀 ▲同 銀 △同 金 ▲8四歩 △7六金
▲8五飛 △8四歩 ▲6五銀 △同 飛 ▲8四飛 △6七歩成
▲3三角成 △同 桂 ▲8一飛成 △6八と ▲9一龍 △5八と
▲同 金 △6九飛成 ▲5九香 △6七金 ▲4四桂 △2二玉
▲5二桂成 △5八金 ▲4九角 △3九銀
まで76手で後手の勝ち



定跡との違い 

よく見かける定跡形のようだが、エルモ囲いに手数がかかるため振り飛車は高美濃に組める。
pointは▲9八香の省略。


図からの指し手①
▲8八角 △6五歩 ▲8六歩 △6六歩
▲8五歩 △6五銀 ▲4五銀 △7六銀
▲3四銀 △6七歩成 ▲3五桂 

これが振り飛車の理想の手順。
△6八とには▲2三桂成が厳しく、△8八角成には▲同飛と手順に飛車取りを避けることができる。


したがってエルモ側は3四の銀を追い返そうと△3三歩とするが、当然振り飛車も▲6六飛と捌いてくる。


図からの指し手②
▲3四銀 △3三歩 ▲6六飛 △同 飛
▲4三銀成 △同 銀 ▲6六角 △3四歩
▲2二角成 △同 玉 ▲5五角 △3三角
▲同角成 △同 桂 ▲7一飛 △4二銀
▲7三角


問題は、下図の局面だった。

ここで当然に見えた△7六銀が悪く、△5四銀が正解。
自陣がしっかりしたので▲3四銀には△3三歩で問題ない。


対三間飛車

三間飛車に対して右四間飛車はより効果的だ。

矢倉規広七段vs黒田堯之四段(エルモ)

▲5六歩の瞬間に△6五歩が機敏。
▲5六歩では▲8六歩とする戸辺流が良かったか?

軽い仕掛けなので矢倉七段も自信持っていたはずだ。


図からの指し手
▲同 歩 △8八角成 ▲同 飛 △6五銀 ▲5七銀 △3三角
▲5五角 △5四歩 ▲3三角成 △同 桂 ▲6三歩 △同 飛
▲8二角

 

黒田四段(当時)は、△4四角▲9八飛△7六銀と攻めたが、▲9一角成△7一金▲7四歩△6九飛成に▲4六香と角を攻められて困った。

▲4六香によって△4五桂の攻めもなくなった。


図での正解は単に△7六銀。


図からの変化手順

△7六銀 ▲9一角成 △7一金 ▲7四歩 △6九飛成 ▲6八飛
△8九龍 ▲6三飛成 △6五桂 ▲4八銀 △7五角 ▲7三歩成
△6七銀成 ▲5九金引 △5七桂成

 


超急戦

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △4二玉 ▲7五歩 △1四歩
▲1六歩 △6四歩 ▲7八飛 △6二飛 ▲5八金左 △6五歩
▲同 歩 △同 飛 ▲2二角成 △同 銀 ▲5六角 △6二飛
▲8三角成 △4五角 ▲3八銀 △7八角成 ▲同 銀 △7九飛
▲6九角 △8八歩


金銀を動かさず、飛車先を切ったのが工夫で、角打ちの隙が無い。
先手はまだ居玉のままだ。
▲5八金では▲6八銀や▲4八玉も有力。
ただ、▲6八銀は△6五歩▲同歩△8八角成▲同飛△6五飛の時に7五の歩が浮くのが気になる。

先手は馬ができると喜んで▲5六角と打ったが、後の△4五角が激痛だった。
おとなしく▲6七歩と受けるべきだったか。


7筋交換は危険

飛車先の歩を突いてきた時が△6五歩と仕掛けるチャンス。
6一の金が飛車成を防いでいるので労せずして一歩手持ちにしたようなものだ。
▲6五同歩に△8八角成▲同銀△6六歩が厳しい。
先手は▲4六角と反撃したが後手の△4五角の方が厳しい。


阿部光瑠vs佐々木大地

エルモ囲い右四間飛車急戦は、シンプルに仕掛けて良くなるためアマチュアで猛威を揮っている。
エルモ囲いは、一段金二枚の低い陣形なので守備力が強い。
これに右四間飛車の攻撃力が加わると無敵だ。
図の局面で素直に▲6五同歩と取るのは、角交換して△3三角が厳しい。
飛車取りを▲7七角や▲9八飛と受けても△6五銀で後手が快調。
図では、▲6八飛と戦場に振り戻すのが振り飛車の極意(らしい)。
これに△6六歩▲同銀△6五銀と突撃して、早くもエルモ得意の展開。
▲6五同銀△8八角成▲同飛△6五飛に▲7七桂と捌くのが振り飛車の調子。
しかし、△6九飛成▲6八飛△同竜▲同金△8九飛ですでにエルモのペース。
実戦は、△6二飛と引いて▲6八飛に△6六銀と佐々木大地五段らしい押さえ込み。

図の▲5五角で▲2五銀は△6五飛がある。
△3三角と受けたため、△6五飛の筋が消え、無事▲2五銀と受けることができた。
ここでは△1六歩と勝負したかった。
以下▲1九角成に△3五角が痛い。



大阪将軍、沖元二の右四間対策

大阪将軍と言われた沖元二さんにアマ名人戦全国大会で一度だけ対戦したことがある。
山田道美九段の著書に影響受けた私は、対振りには右四間飛車だが、図のように組まれて指しにくさを感じた。
▲7七桂と受けられる前の△3二玉では△6五歩と仕掛けるべきだった。
先手にとって▲7六飛の瞬間が嫌な形なのだ。
▲7四歩△同歩▲6五歩に△8八角成▲同銀△3二玉とすれば、次の▲6四角を狙って▲7七桂と跳ねたいが、△7八角が狙いの一手。

▲6四角に△8九角成とすれば銀得が約束され、後手良し。
▲5三角成には△6三銀▲6四歩△5二銀と△8八銀を楽しみに辛抱する。
▲9一角成には一旦△7一金と受けておく。


沖さんとの将棋に勝ち、自信を深めたのは懐かしい思い出だ。