藤井聡太が現れなかった世界から 新作将棋小説『覇王の譜』|橋本長道|note

「将棋×将棋」の新しい将棋小説  29連勝の衝撃とともに藤井聡太がデビューして以来、将棋を題材とした小説、ノンフィクション、漫画が花盛りを迎えている。ブームと言っていい。  四年前、新潮社の編集者から声をかけられた時、「困ったことになったな」と思った。私は既に『サラの柔らかな香車』と『サラは銀の涙を探しに』という二冊の将棋小説を出しており、将棋についてあらかた書き切ったという感があったからだ。漫然とならいくらでも書ける。しかし、次々と優れたエンタメ作品が出てくる中で、インパクトを持ったものを用意するのは難しい。  この十年ほどで私が特に高く評価している将棋小説は、『神の悪手』(芦

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